インド政府、国際的なDX競争下で地理空間データの利活用を自国企業へ開放

2月15日、インド政府が新しい同国の地理空間データガイドラインを発表した、とIndian Expressが報じました。

これまでインドは、マッピング技術やサービスを自国以外のグローバルIT企業に依存してきました。今回のガイドラインが公開されることで、自国企業があらゆる地理空間技術を使用して、領海の地図を含む地理空間データを自由に活用できるようになるため、インド内のスタートアップ、民間企業、公的機関や研究機関に、多大な機会と成長を与えると期待されています。

『何十年もの間、地理空間データは戦略的な理由や安全保障上の懸念から優先されてきました。そのため、インド政府とSurvey of Indiaなどの政府運営機関に支配されてきた歴史があり、インド企業が地形データを収集、保存、使用、販売、普及する際にはさまざまな省庁からの許可や追加の承認を得る必要がありました。

こうしたことから、データ利用には膨大な時間とコストが発生してきました。また、インドではデータが非常に不足しており、データに基づいたインフラ、開発、ビジネスの計画を妨げる要因にも。政府だけで高精度な国全体の地図を作成するには数十年かかってしまう、という懸念も背景にあるようです。

こうした地理空間データが一般市民の生活に与える影響も大きく、世界的に地理空間へのオープンアクセスを求める声が高まっています。インド政府の新ガイドラインでは、一部の機密性の高い防衛・安全保障関連のデータを除き、自由にアクセスできるようになりました。』

Explained: Why is India opening up the Geo-spatial sector? What impact will this have?(The Indian Express) より抄訳

このガイドラインでは、位置情報が現代のデジタル・エコシステムの不可欠な部分であり、国の成長や発展に欠かせないと定義した上で、eコマースや配送・物流、都市交通など、位置情報に基づいたサービスを提供する現代の産業にも不可欠としています。また、農業、建設・開発、鉱山・鉱物といった伝統的な産業においても重要だと唱えています。

Geospatial Worldの記事 India’s decision to de-regulate geospatial information is significant in so many waysによると、2030 年までに 1 兆インド・ ルピー(138 億米ドル)の価値を生み出すとされています。

インドは、2024-25年までに5兆米ドルの経済大国になる構想を立てています。これが実現すれば、インドは世界第3位の経済大国になります。


Countries Geospatial Readiness Index 2019 (各国の地理空間対応力 インデックス2019)では25位だったインド。日本は12位(出典:GeoBuiz 2019

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