月刊Graphia 2025年7月号(2025年6月分まとめ)
地図と位置情報を中心としたニュースサイト「GeoNews」の協力を受けて、2025年6月に掲載したニュースの中から厳選した5つの話題をピックアップして紹介します。
ジオテクノロジーズとJTB、渋滞情報や人流を可視化する分析ツール「トレポト」を提供開始

ジオテクノロジーズ株式会社と株式会社JTBは業務提携契約を締結し、人流分析ツール「トレポト」を共同開発して10月1日に提供開始すると発表しました。
トレポトは、ジオテクノロジーズの人流データをもとに過去の渋滞状況を視覚的に把握し、統計に基づく渋滞予測を可能にする分析ツールです。両社は同ツールを活用することで、最短距離だけでなく通過時間を考慮した最適な所要時間の計算に基づく詳細な分析レポートを提供します。
活用例としては、観光地や花火大会などのイベント時における交通への影響の評価や、運輸事業の必要性・実効性の評価などに活用できます。
両社はまず観光地における交通課題が顕在化している自治体や観光地域づくり法人(DMO)を対象にサービスを開始する予定で、今後は交通渋滞や人流の分析データをもとに、より精度の高いプロモーション戦略や観光政策の立案、地域ごとの移動分散や公共交通機関の活用促進を提案・支援する方針です。
国土地理院、能登半島や沖縄の地形分類データ「数値地図25000(土地条件)」を公開

国土地理院は、地形分類データ「数値地図25000(土地条件)」として、新たに輪島市や珠洲市を含む石川県や、鹿児島県、県内のデータ整備が初となる沖縄県などの約2,500㎢を7月1日に提供開始すると発表しました。
「数値地図25000(土地条件)」は、山地や台地・段丘、低地、人工地形など土地の成り立ちを示した地形分類の主題図で、全国の主要平野部を中心に整備が進められています。地形分類を確認することにより、その場所で発生しやすい自然災害を推測することができます。
「数値地図25000(土地条件)」のデータは地理院地図や国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で閲覧できるほか、日本地図センターのウェブサイトからオンラインで購入できます。
クロスロケーションズ、インバウンド人流データ分析システムに訪日外国人の密集エリアを可視化する新機能を追加

クロスロケーションズ株式会社は6月28日、インバウンド人流データ分析システム「インバウンドアナリティクス+」に新機能「 [インバウンド] エリア密集マップ」 を追加したと発表しました。
同機能は、来日中の外国人のスマートフォン位置情報データをもとに、特定エリアにおける訪日外国人の滞在密度や集客状況を居住国別に地図上にヒートマップ形式で可視化する機能です。国別の居住国判定が可能で、「どの国の旅行者が、どの時間帯に、どこに集中しているか」といった粒度で詳細に把握できます。これにより、観光業界や自治体、小売・商業施設、消費財メーカー、広告会社など、インバウンド需要を取り込みたい現場において、より迅速かつ高精度な施策立案が可能になります。
「インバウンドアナリティクス+」で可視化・分析した訪日外国人のデータを活用して、該当する旅行者のスマートフォンに対して直接広告を配信することも可能で、より高解像度な分析に基づいたスマートフォン広告配信も可能となります。
インストール型地図ソフト「スーパーマップル・デジタル」最新版が7月4日に発売

株式会社昭文社ホールディングスと株式会社マップルは、Windows用のインストール型地図ソフト「スーパーマップル・デジタル26」を7月4日に発売すると発表しました。通常製品版、ダウンロード版、ライセンス版の3形態が用意されています。
本バージョンでは64ビットに完全対応して処理速度が向上したことに加えて、新たに緯度経度座標による外部サイトへのリンク機能を搭載しました。あらかじめ緯度・経度と縮尺レベルを埋め込む位置を指定したURLを最大3件設定することが可能で、同ソフトで表示している地図の任意地点を右クリックしてメニューを実行すると、リンク先として指定した外部サイトの地図がウェブブラウザで表示されます。
同機能を活用することにより、スーパーマップル・デジタルではユーザーが保有する情報を表示させて、それ以外の情報は別のサイトで同じ位置の情報を簡単に参照することが可能となります。
このほか、有料道路上の任意の地点を出発地や目的地、経由地に指定できるようなったことに加えて、カスタム情報(図形)の編集時に縦横比を維持するオプションも追加されました。また、危険物搭載規制を考慮したルート検索も可能となりました。さらに、同ソフトで使える編集済みオープンデータ無料ダウンロードサイトでは、新たに「用途地域」および「地価調査」のデータが追加されました。
なお、地図データおよび検索用データ、車のルート検索データについては、大阪・関西万博に関連した交通網の新規併用も含めて、2024年4月1日時点の情報を反映しています。
地盤情報サイト「地盤サポートマップ」がアップデート、液状化リスク評価を5段階に刷新

ジャパンホームシールド株式会社は6月19日、地盤情報サイト「地盤サポートマップ」を大幅にアップデートしたと発表しました。
同サイトは、土地の地盤・防災・生活情報を地図上で確認できる無料で利用可能な地盤情報サイトです。地図上で地盤データを視覚的に表示することにより、地震や液状化などの災害リスク、防災情報や学区、避難所などのさまざまな情報を調べられます。
今回のアップデートでは、従来は4段階評価だった液状化リスクを5段階評価に変更したほか、「地耐力データ」「土砂災害警戒区域」「地震の発生確率」など、全13項目の地盤・防災関連情報も更新・反映しました。液状化リスクについては国の新たな基準に対応することで、より詳細に把握できるようになり、信頼性の高い指標として利用可能となりました。