建設現場やスポーツ、エンタメなど空間IDの活用事例

Geoloniaが現在取り組んでいる「空間ID」についてGeolonia代表の宮内が語る第2回は、建設現場やスポーツ観戦といった具体的な空間IDの活用事例について語りました。

Geolonia代表の宮内隆行

第1回:ドローン宅配で注目、3次元空間を立方体で区切る「空間ID」の可能性とは
第2回:建設現場やスポーツ、エンタメなど空間IDの活用事例
第3回:経産省が推進する空間IDの共通ライブラリでドローンの自動運行を効率化
第4回:3次元を超えて4次元空間での活用も検討が進む空間ID


建設現場の課題を空間ID活用で解決する取り組み

前回は空間IDの基本的なことについてご説明しましたが、今回は当社が空間IDについてどのようなことに取り組んでいるのかご紹介しましょう。

Geoloniaは、NEDO(国立開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が行っている「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/3次元空間情報基盤に関する研究開発」の採択先として、竹中工務店が中心となって行っている事業「スマートシティに向けた空間ID/3次元空間情報基盤の研究・開発」に取り組んでいます。

竹中工務店のような建設会社が空間IDとどのような関係があるかというと、例えば建設現場では、朝、仕事を始める際に、まずは1時間くらいかけて工具の場所を探すところからスタートするそうで、その時間と手間のロスが課題となっています。そこで今回の事業では、空間IDを利用して工具がどこにあるのかをトラッキングするのが可能かどうかを検討しています。

また、クレーンなど大きなスペースを占有する重機を建設現場で使う場合は、事故防止のため、その近くで他の作業は止める必要があります。そこで、「この時間はここの空間を使うので予約しておきます」という感じで“空間予約”を行えるシステムを、空間IDを使ってできないかということも検討しています。このほか、建設ロボットの3次元の移動制御にも空間IDの活用を考えています。

空間IDを利用してスポーツの試合を立体再現

もうひとつはスポーツ観戦への応用です。今後、スタジアムを取り囲むように大量のカメラが設置され、リアルタイムに3Dスキャンを行って中継できるようになると、例えば野球やサッカーの中継をARグラスを使ってテーブルの上で立体的に再現できるようになる時代が来るかもしれません。テーブル上を動き回る小さな選手達を指で触ると、それぞれ選手の成績や顔写真がポップアップで表示されるとか、そのようなことが現実になる可能性があります。

そのようなコンテンツを作る場合、実際の試合場で取得する座標と、テーブル上にARで表示される選手の座標を連動させる必要があり、そこで空間IDを使えるのではないかと考えています。スタジアムからテーブルへと場所を移す際に、空間IDを活用すればズームレベルを変更することで簡単に座標を変換できるというわけです。

ほかにもエンタメの分野では空間IDの様々なユースケースが想定されています。例えばゲーム内で火を噴いたら、イベント会場でその攻撃が誰に当たったかを判定するというような仕掛けも考えられますね。

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