【ジオ用語解説】等高線
等高線とは、地図上で同じ高さの地点を結んだ線のことを意味します。地形の起伏を表す手法として広く一般的に使われており、等高線を見ることで標高や地形の傾きを把握できます。
等高線の種類
国土地理院の地形図の場合、等高線には大きく分けて主曲線(細い線)と計曲線(太い線)の2種類があり、等高線の途中には標高をメートルで示す数字(等高線数値)が入っています。例えば山頂の標高が347mの山で、山頂の下に標高300mの計曲線が入り、山頂と計曲線の間に4本の主曲線が入っていたら、主曲線は10mごとに引かれていることになります。
等高線をもとに標高を読み取るには、知りたい場所の近くにある高い方と低い方の等高線を見てそれぞれの標高を調べた上で、どちらの等高線に近いかを確認して、おおよその標高を割り出します。たとえば知りたい場所が標高50mと40mの等高線の間にあり、およそ3:7の割合で50mの等高線寄りに位置している場合、その場所の標高は約47mであることがわかります。
国土地理院の地形図では、等高線の標高の間隔は縮尺ごとに異なります。2万5千分の1地形図では主曲線は10mごと、計曲線は50mごとになっており、5万分の1地形図では主曲線は20mごと、計曲線は100mごとに線が引かれています。
なお、複雑な地形や緩やかな傾斜など、主曲線だけではわかりづらい部分には、主曲線と主曲線との間に補助曲線が引かれる場合もあります。国土地理院の地形図では、補助曲線は5mまたは2.5mごとに表示します。
また、凹んでいる土地(凹地)の場合は等高線を表示した上で、内側に短線を表示します。さらに、凹地内の突起部については、突起している場所の最も標高が低い等高線から短線を外側に向けて表示します。なお、凹んでいる箇所が小さい場合は、高い方から最低部に向けて矢印を表示する場合もあります。
このほか地形を表す記号としては、雨水の流れによってできる谷状の地形を意味する「雨裂」や、岩でできた急斜面を意味する「岩崖」、「土崖」「岩」「砂れき地」などがあります。また、等高線に似たものとして、水部において水深が等しい点を結んだ曲線を意味する「等深線」や、地上天気図において同じ気圧の地点を結んだ線を意味する「等圧線」などもあります。
地理院地図を使って等高線と断面図を比較
ウェブ地図サービス「地理院地図」の場合、ズームレベルごとに等高線の間隔は異なり、最もズームインした状態では2万5千分の1地形図と同様に主曲線は10mごと、計曲線は50mごとに入っており、ズームアウトした状態では主曲線と計曲線の違いがありません。
なお、地理院地図では、地図上の任意の点をクリックすると、下部に標高が表示されるようになっています。ここに表示される標高は、航空レーザー測量で得られたDEM(数値標高モデル)の値をもとにしています。
等高線を見ることで、地形の傾きがどれくらい急なのかを把握することができます。等高線の間隔が広いほど緩やかで、狭いほど急であることを表しています。地理院地図には任意の地点を結んだ線の標高断面図を作成する機能もあるので、等高線の間隔と地形の傾きの関係を確認したい場合は、この断面図と見比べるとわかりやすいでしょう。
このほか等高線と実際の地形との関係を知るのに適した商品としては、「やまつみ」という立体模型キットがおすすめです。このキットは、等高線の形に沿ってカットされた厚紙を貼り重ねていくことで山や島を作ることができます。
等高線の作成方法
等高線の作成方法としては、航空機による空中写真測量や航空レーザー測量などを使用し、取得したステレオ写真や点群データをもとに得られた標高データを使って等高線が作られます。また、トータルステーションと呼ばれる測量機器や、地上設置のレーザースキャナーを使って現地で測定する方法もあります。
なお、オープンソースソフト「QGIS」のように、DEMから等高線を作成する機能が搭載されているGIS(地理情報システム)ソフトもあり、この機能を使うことで個人でも等高線を作成することができます。ウェブサイトを検索すると、国土地理院が公開している基盤地図情報のDEMをもとに等高線を作成する方法などが紹介されているので、興味がある方はぜひ試してみてください。
等高線は地形の起伏を線で表すため、単色でも高さを表現できるというメリットがある一方、凹凸が混在する複雑な地形の場合はわかりにくいという課題もあり、それを補うために「デジタル標高地形図」や「赤色立体地図」など複数の色を使って色彩の濃淡で立体感を表現する手法も研究されています。
URL
国土地理院 地図記号一覧
https://www.gsi.go.jp/kohokocho/map-sign-tizukigou-2022-itiran.html