月刊graphia 2026年8月号(2026年7月分まとめ)
地図と位置情報を中心としたニュースサイト「GeoNews」の協力を受けて、2026年7月に掲載したニュースの中から厳選した5つの話題をピックアップして紹介します。
ゼンリンデータコム、Hondaのプローブデータを活用した「通行実績情報マップ」を無償公開


株式会社ゼンリンデータコムは7月28日、熊本地震の発生を受けて、本田技研工業株式会社(Honda)の道路通行実績情報を活用した地図「通行実績情報マップ」を地図・ナビゲーションサービス「いつもNAVI(web)」上で公開しました。
同サービスは、カープローブデータを用いて、災害時に車両の通行実績があり、車両が通行できると推定される道路の情報を提供するサービスです。会員登録等は一切不要で、HondaユーザーやいつもNAVIユーザーに限らず、誰でも無料で閲覧できます。
熊本地震に関連したニュースとしては、このほかにトヨタ自動車株式会社も7月28日に、熊本県で発生した地震を受けて「通れた道マップ」を公開しました。
「通れた道マップ」は、災害時に過去24時間の道路の通行実績を集計して被災地の避難や救援のための移動を支援するための地図で、地図上ではTプローブ交通情報をもとに通れた道や渋滞、混雑など通行実績が色別に表示されるほか、交通規制情報なども表示されます。
ナビタイムジャパン、ランニングアプリ「Run Supporter by NAVITIME」に日陰の位置をシミュレーションできる機能を追加


株式会社ナビタイムジャパンは7月17日、ランニングアプリ「Run Supporter by NAVITIME」にて、新機能「ランニング日陰シミュレーター」を提供開始しました。
同機能は、ランニングコース上の日陰の位置が時間経過によって変化する様子をシミュレーションできる機能です。地図上にコースを表示した状態で「日陰」ボタンを押すと日陰の位置が表示されて、スライダーで時間を動かすと、1時間ごとの各時間帯の日陰の位置を確認できます。
新たに追加されたコース再生機能では、時間の経過とともに、ランニング中に刻々と変化する日陰の位置もあらかじめ確認できます。これにより、スタート前に日陰のあるコースを選択したり、コースが日陰になる時間を選んで走ったりすることが可能となります。また、夏の暑さ対策だけでなく、冬季には日陰を避けて日の当たる時間帯を探すこともできます。
同社は暑さへの対策として、自転車専用ナビゲーションアプリ「自転車NAVITIME」でも「直射日光を避けるルート」を7月28日に提供開始しました。
「直射日光を避けるルート」は、夏場に日陰を多く通れそうなルートが検出された場合に自動で提案される機能で、ルート詳細画面において「日陰率70%」のように経路全体に占める日陰の割合を確認できます。さらに、地図設定で「日陰を表示」をONにすると、地図上に現在時刻における建物の日陰を重ねて表示する「日陰マップ」も提供します。
同社はこれまでも「ALKOO by NAVITIME」などで徒歩向けの「日陰ルート」を提供してきました。今回は自転車向けにチューニングを行って、単に日陰データを自転車ルートに重ねるのではなく、道路の左側端を走る自転車の交通ルールに則って、進行方向左側の日陰を表示できるよう計算してルートに反映しています。さらに、日陰を通ることを優先して右左折が極端に多くならないように、自転車での走りやすさとのバランスをとった自然なルートを提案します。
シンク・ネイチャー、日本全国の「歴史の古い草原」の分布を地図化

株式会社シンク・ネイチャーのサイエンスチームは、100年以上にわたって人為的な管理が継続されてきた「歴史の古い半自然草原(古草原)」の分布を地図化した研究成果を生態学の国際学術誌「Ecological Research」に発表するとともに、研究成果を閲覧・活用できるウェブサイト「日本の古草原ウォッチ(Japanese Old Grassland Watch)」を公開しました。
草原は、火入れや採草、放牧など人間の管理によって森林への遷移が抑えられて成立する生態系であり、日本での面積は国土のごく一部ではあるものの生物多様性の高い生態系であるとのことです。近年の研究では、地域住民の資源利用と結びついてきた「半自然草原」は、原生的な自然草原や成立の浅い二次的草原とは異なる生態系であることが分かってきましたが、どこにどれだけ残っているかが可視化されていませんでした。
今回の研究では、100年以上にわたり草本植生が継続してきた土地を「歴史の古い半自然草原」と定義して、複数時点の地図資料や統計データを統合する独自の手法により、1ha以上の歴史の古い草原について、その分布を全国規模で明らかにしました。解析の結果、現存する古草原は2,654件のポリゴン(区画)として特定され、その総面積は58,872ヘクタール、日本の国土面積の0.16%にとどまることが判明しました。
「日本の古草原ウォッチ(Japanese Old Grassland Watch)」のウェブビューアーでは、このような分布データを地図上でインタラクティブに確認することが可能で、半自然草原全体の分布密度を示す「SNG」レイヤーや、植物・動物・全種を対象とした保全優先度ランキング(上位5/15/30地域)など、複数のレイヤーを切り替えながら閲覧できます。これらのデータは研究目的のほか、自治体などにおける生物多様性地域戦略の策定や自然共生サイト認定候補地の抽出、開発事業における環境配慮の検討、防災・減災施策との連携などさまざまな活用を想定しています。
ダイナミックマッププラットフォーム、「3Dmapspocket」の一般道点群データの提供エリアを拡大

ダイナミックマッププラットフォーム株式会社(DMP)は7月30日、同社が提供する3D空間プラットフォーム「3Dmapspocket」において、一般道点群データの提供エリアを拡大すると発表しました。
3Dmapspocketは、DMPが取得した全国の高速道路や自動車専用道路、国道、主要幹線道路の3次元点群データとGoogle Photorealistic 3D Tilesを統合して、ブラウザ上で3D空間の計測・分析・配置などを行えるサービスで、インフラ管理や交通事故調査、不動産開発などに活用されています。
今回の提供エリア拡大では、同社が保有するデータに加えて、NTT ME株式会社が取得した3次元点群データを3Dmapspocketに新たに登録することにより、関東・中部・東北地方の11都県のデータ利用可能範囲を拡充します。主な追加エリアは、東京都内、神奈川県県央エリア、千葉県房総エリア、愛知県名古屋市内のほか、埼玉県や群馬県、栃木県、長野県、新潟県、福島県、宮城県の一部地域となります。
一般道データの拡充により、現地に行かなくても道路周辺環境を把握できるエリアが広がり、距離・高さ・道路幅員などの計測や、関係者間での円滑な情報共有など、現地調査前の検討や業務効率化に活用できます。
スペースデータ、3D都市モデル上で人流を可視化する「People Flow Simulator」を発表

株式会社スペースデータは7月30日、同社が提供する宇宙AIプラットフォーム「SpaceBrain」のデモンストレーションとして、人流デジタルツイン「People Flow Simulator」を発表しました。
People Flow Simulatorは、新宿駅とその周辺エリアを対象に3D都市モデルと人流シミュレーションを統合したデモンストレーションで、駅構内および地下街、周辺ビルの各フロアなどを一体の3D都市空間として再現し、その上を流れる大規模な歩行者エージェントを描画する人流デジタルツインです。屋上から地下4階までのフロアを選択しながら、「どの階を、どれだけの人が、どの方向に流れているのか」を階層別に確認できます。
人流データは公開統計の傾向をもとに生成した推計人流データで、1階では約6.4万人相当、屋上階では約4,500人相当と、階が上がる・深くなるほど人流が疎になる実態に即した階別人口の差別化を行っています。SNS投稿に由来する実測人流サンプルをオーバーレイ表示し、生成した人流の傾向を実データと照らし合わせて確認することもできます。
歩行者エージェントは数万体規模が新宿駅周辺の実在の街路やコンコースを結ぶ17本のOD回廊(出発地と目的地を結ぶ人の通り道)に沿って約2m/sの物理歩行速度で連続的に移動します。平常時だけでなく、東側・西側出入口の閉鎖やバリアフリー動線の制約、テロなどによる地下空間の局所的な被害地点の設定といった遮断シナリオを切り替えることも可能です。
地下表示は地表を半透明化して地下構造を立体的に確認することが可能で、3D表示とワイヤーフレーム表示、地下の人流を横から見る断面ビューの切り替えに対応します。WebGLベースの3D地図エンジンの上に、数万体規模の歩行者エージェントをリアルタイムに描画する設計を採用しており、位置・色・サイズ・透過度をフレームごとに更新するとともに、局所密度や時間帯に応じたローパス平滑化処理を適用することにより、点滅やノイズの少ない滑らかな人流表現を実現しています。














