月刊Graphia 2024年12月号(2024年11月分まとめ)
地図と位置情報を中心としたニュースサイト「GeoNews」の協力を受けて、2024年11月に掲載したニュースの中から厳選した5つの話題をピックアップして紹介します。
ゼンリンデータコム、全国133カ所の過去の地図を見られる「都市変遷マップ」を提供開始
株式会社ゼンリンデータコムは11月28日、同社が保有する過去の地図データと建物情報を活用した新サービス「都市変遷マップ」を提供開始しました。
同サービスは、全国133カ所のランドマークの過去の地図と現在の地図を年代別に比較して見ることが可能な地図サイトで、1994年以降の都市変遷を振り返ることができます。
ジャンルごとの施設件数の推移を確認することが可能で、業界や地域のトレンドを把握して都市計画の立案や商圏分析に活用できます。また、過去の地図と現在の地図を比較した街並みの変遷を分析することにより、不動産業務における土地調査の工数削減にも役立てられます。
国土交通省、実証実験の紹介や課題解決アイデアの募集を行う「地理空間情報課ラボ」を提供開始
国土交通省は11月22日、地理空間情報に関するアイデアの拾い上げや産学官のコミュニケーションを行うことを目的としたウェブサイト「地理空間情報課ラボ」を開設しました。
同サイトでは、地理空間情報課が行っている実証実験などの取り組みについて担当職員が情報発信を行い、アイデアやコメントを募集することにより双方向のコミュニケーションを図ります。
また、データ連携に関する課題解決のアイデアを募集する企画「GeoSynergy Linkage Hub」も実施します。地理空間情報は位置情報の付与方法やデータ形式などが多様であり、情報の連携が困難なため、地理空間情報課ではデータ連携環境の構築に取り組んでおり、研究者やエンジニア、データサイエンティスト、愛好家などのアイデアを政策に活かすため、同企画により課題解決のアイデアを募集します。
優れたアイデアについては地理空間情報課ラボが認定し、地理空間情報課が構築するデータ連携環境に採用する場合もあります。現在募集中のアイデアとしては、不動産情報ライブラリやデータ連携手法、不動産登記ベースレジストリ、建物へのIDの付番などの“お題”が掲載されています。今年度はプレ実証として、2024年12月までと、2025年1月までの2回にわたって募集を予定しています。
東京都デジタルツイン実現プロジェクト、区部の3次元点群データを公開
東京都は10月31日、区部の3次元点群データを東京都デジタルツイン3Dビューアに掲載するとともに、東京都オープンデータカタログサイトおよびG空間情報センターにてオープンデータとして公開しました。
東京都はデジタルツインの基礎となる都内全域の3次元点群データの整備を2022年度から進めており、2023年度に多摩・島しょ地域(小笠原諸島を除く)を公開しています。
今回公開したのは、建物・樹木などの地物の高さを含む地表面データ(DSM)、グリッドデータ(0.25m)および微地形表現図(赤色立体地図、0.25m)、航空レーザ用数値写真データ(オルソ画像)、等高線データなど7種類で、多摩・島しょ地域(小笠原諸島を除く)のデータと同様に公表データとしては国内最高精度とのことです。
東京都は今後、3D都市モデル整備や行政機関の防災対応力の向上に資するシミュレーション、道路の点検など、整備したデータを防災やまちづくりなどさまざまな分野で活用していく方針としています。
ダイナミックマッププラットフォーム、欧州16カ国・約27万kmのHDマップを提供開始
ダイナミックマッププラットフォーム株式会社は11月12日、欧州16カ国の高精度3次元地図データ(HDマップ)を新たに整備し、高速道路と幹線道路あわせて約27万kmのデータ提供を開始しました。
提供するHDマップは、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリスの16カ国で、ハンズフリー運転システムの開発に必要な要件を備えており、複数の大手自動車メーカーと協力してシステムへのシームレスな統合を進めています。
同社のHDマップは15cmの精度で整備しており、停止線や道路標識などの実在地物と、車線中心線など現実に存在しない仮想地物の両方の道路要素を盛り込むことにより、レベル2以上のADASにおいて重要な役割を果たすものとしています。
Spectee、サプライチェーンのリスク管理サービス「Spectee SCR」をアップデート
株式会社Specteeは11月19日、サプライチェーンのリスク管理サービス「Spectee Supply Chain Resilience(SCR)」をアップデートし、リスク情報の一元管理機能を大幅に強化すると発表しました。
同サービスは、サプライチェーンに影響を与える危機を可視化するサプライチェーンリスクマネジメントプラットフォームです。今回のアップデートにより、世界中のリスク情報を詳細な位置情報まで取得し、世界各地のローカルニュースや気象データ、地震等の災害情報などに基づいて被災拠点を絞り込めるようになりました。リスク情報に関連する拠点を自動で検知し、通知や地図上での可視化を通じて迅速かつ的確な対応をサポートします。
また、被災の可能性があるサプライヤー拠点に対して、自動でアンケートを送付する機能を追加しました。これにより、拠点の最新のステータスを一覧表示し、迅速に状況を把握できるようになります。発生したリスク事象やアンケートの回答結果などを自動的に集計し、影響を受ける製品をリスト化することも可能になりました。
同社は今後、さらに深層のサプライヤー情報の可視化を可能にし、サプライチェーン全体を網羅的に把握できる機能の追加を予定しています。これにより、危機発生時の影響範囲をより正確に把握し、迅速な対応が可能となります。