月刊グラフィア 2023年11月号
地図と位置情報を中心としたニュースサイト「GeoNews」の協力を受けて、2023年10月に掲載したニュースの中から厳選した5つの話題をピックアップして紹介します。
位置情報ビジネスのトレンドがわかる「カオスマップ 2023年版」が発表
LBMA Japanは位置情報を活用したマーケティングやサービス施策の促進を目的に活動する65社の企業連合で、カオスマップはLBMA Japan参加企業および主要企業を調査して作成したものです。閲覧するにはLBMA Japanウェブサイトのサイト会員登録(無料)が必要となります。
一般社団法人LBMA Japanは10月16日、日本国内に於ける位置情報サービスを展開する企業を中心としたカオスマップの2023年版を公開しました。
今回のカオスマップでは、位置情報サービスのトレンドとして、「ロケーションAIの実用化によるユースケースの拡大」、「観光データ需要の急増とインバウンド復活」、「オルタナティブデータにおける位置情報利用の本格化」、「スマートシティでGXが必須要件に」、「モビリティ分野における利用用途の多様化」の5つを挙げています。
国土地理院、1mメッシュの高解像度な地形データを11月30日に提供開始
国土地理院は、解像度が1mの高解像度な地形データ「基盤地図情報(数値標高モデル)1mメッシュ(標高)」を11月30日に提供開始すると発表しました。
同院は2008年から航空レーザー測量データを基にした「基盤地図情報(数値標高モデル)5mメッシュ(標高)」を整備・提供してきましたが、近年、高解像度の標高データへの需要が高まっていることに加えて、航空レーザー測量機器の性能も向上していることから、今後は5mメッシュ(標高)と並行して、より高解像度な1mメッシュ(標高)の整備も進めていく方針です。
1mメッシュ(標高)は5mメッシュ(標高)に比べて25倍の標高点密度を持ち、細かな起伏の表現力が増すため、より精度の高いシミュレーションが可能となり、ハザードマップの浸水想定や土砂災害警戒箇所の抽出精度の向上などが期待されます。
11月30日に提供を開始する範囲は、国土地理院が2020年度に実施した航空レーザー測量データを基にした東北地方太平洋沿岸部の約2,000平方kmで、今後も航空レーザ測量データが得られた地域で整備していく予定です。
位置情報ゲーム「ドラゴンクエストウォーク」の地図データにMapboxが採用
株式会社スクウェア・エニックスと株式会社コロプラが共同開発した位置情報ゲーム「ドラゴンクエストウォーク」のベースとなる地図データに、マップボックス・ジャパン合同会社のデジタル地図開発プラットフォーム「Mapbox」が採用されることが発表されました。
同ゲームは2021年10月、Googleの地図サービス「Google Maps Platform Gaming Services」が2022年12月末に終了することに伴って一定期間、地図サービスの移行に向けた準備期間としていました。地図データの移行作業は10月25日より順次開始し、11月14日までにすべてのユーザーの移行が完了する予定です。
マップボックス・ジャパンの発表によると、Mapboxは地図のカラーリングやフォントの種類、レイヤー数が多いことを特長としており、デザインが自由で情報の処理スピードが速いとのことです。また、アイテム獲得スポットやチェックポイントの配置を、立ち入り禁止区域や歩行不能な道路などを判断し、適切な場所に設置できる「Playable Location」データも提供しています。
Yahoo!マップ、全国700箇所の紅葉スポットを地図上で確認できる「紅葉マップ 2023」を提供開始
LINEヤフー株式会社は10月16日、地図アプリ「Yahoo!マップ」にて紅葉スポットを地図上で確認できる「紅葉マップ 2023」を提供開始しました。
同機能は、地図上で紅葉スポットの写真や名称、例年の見頃、スポットの説明などを確認できる機能。紅葉の色づき状況は5種類のピン(「青葉」「色づき始め」「紅葉見頃」「色あせ始め」「落葉」)で表示され、「ただいま見頃」ボタンをタップすると「色づき始め」「紅葉見頃」だけを絞り込むこともできます。
スポットの見頃情報は1日に2回更新される。また、ルート検索にも対応しており、該当スポットまでのルートや所要時間を調べられます。さらに、今年は新たに、画面上部に「温泉を表示」「道の駅を表示」ボタンを追加し、各ボタンをタップすると「温泉」と「道の駅」がピンで表示されます。
同社は「Yahoo!検索」においても、検索結果に紅葉スポットに関する情報の掲載を9月28日に開始しており、ユーザーが「紅葉」に関連するキーワードで検索すると、検索結果面に全国の紅葉スポットの情報が表示され、現在の色づき状況を5種類のアイコンで確認できます。また、都道府県名など地名と合わせて検索すると、周辺エリアの紅葉スポットの情報が検索結果に表示されます。
マプリィ、森林情報や地形情報などに地上計測データを組み合わせて活用できる「mapry森林マップ(β版)」を公開
株式会社マプリィは10月19日、森林情報などを可視化できるサービス「mapry森林マップ(β版)」を無料で公開しました。
同サービスは、樹種や樹高、材積などの森林資源情報や地形情報などのオープンデータを地図上に可視化できるウェブサービスです。アカウント単位でShapeファイルや地上計測データなどと連携し、立木の材積や収穫の予想などを行える。利用できるデータは、森林計画図、CS立体図、資源量(材種別)、登記所備付地図などです。
リリース時は、栃木県、兵庫県、高知県など林野庁にてオープンデータ化された都道府県と、神奈川県相模原市に対応しており、対応エリアは順次追加する予定です。利用には無料のアカウント登録が必要です。
記事協力:GeoNews