【ジオ用語解説】数値標高モデル
数値標高モデル(DEM:Digital Elevation Model)とは、地表面の形状をデジタル化したデータです。DEMは航空レーザー測量や衛星観測、地上からの測量などによって得られたデータをもとに、GIS(地理情報システム)ソフトウェアを使用して地表面を等間隔の正方形で格子状に区切り、それぞれの正方形の中心点の標高値を集めて作成されます。
DEMの種類と定義
標高データには、DEMのほかに数値表層モデル(DSM:Digital Surface Model)や数値地形モデル(DTM:Digital Terrain Model)と呼ばれるものがあります。DSMは建物や樹木の高さを含むデータを意味し、DTMは建物や樹木を取り除いて地表面の高さだけを抽出したデータを意味します。少しややこしいですが、DEMはDSMとDTMの両方を含む標高データの総称として使われる場合と、DTMまたはDSMと同じものとして使われる場合があり、文脈を見ながらどのような意味で使われているかを理解する必要があります。
日本を対象とした高精度なDEMとしては、国土地理院が提供する「基盤地図情報(数値標高モデル)」(https://service.gsi.go.jp/kiban/)が知られています。基盤地図情報(数値標高モデル)は建物や樹木などの高さを除去したDTMデータで、解像度が1m、5m、10mの3種類があります。データはXML形式で提供されており、可視化ソフトとして「基盤地図情報ビューア」も提供されています。

全球DEMデータの紹介
全球をカバーするDEMは様々な組織が提供しています。下記にその一部を紹介します。
■ALOS全球数値地表モデル(https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/jp/dataset/aw3d30/aw3d30_j.htm)や
陸域観測技術衛星(ALOS)に搭載されたパンクロマチック立体視センサ(PRISM)によって得られたデータをもとにした30m解像度のDSMです。
■ASTER GDEM(https://www.jspacesystems.or.jp/ersdac/GDEM/J/)
人工衛星に搭載されたセンサー「ASTER」によって得られたデータをもとに作成された解像度30mのDSMです。
■Copernicus DEM(https://dataspace.copernicus.eu/explore-data/data-collections/copernicus-contributing-missions/collections-description/COP-DEM)
欧州の地球観測プログラム「コペルニクス」が提供するDSMで、ヨーロッパ全域をカバーする10m解像度のデータ(EEA-10)のほかに、30m解像度(GLO-30)および90m解像度(GLO-90)で世界をカバーするデータがあります。
DEMの活用と今後
DEMはGISにおいて、下記のような様々な用途に活用されています。
・地形の可視化
・地形解析
・災害シミュレーション
・土木工事
・都市計画
・3D立体模型の作成
DEMをもとに標高を色分けすることにより、地形の凹凸を把握しやすくなります。地形の状況を直感的に把握できる地形表現としては、「赤色立体地図」や「CS立体図」、「陰影起伏図」など様々な種類があります。
GISソフトウェアを使って、DEMをもとに等高線を作成することもできます。また、オープンデータとして公開されている3次元点群データのオリジナルデータをもとにDEMを作成することも可能です。国土地理院では、航空レーザー測量をもとにDEMを作成する手順をまとめたマニュアル案(https://www.gsi.go.jp/common/000258818.pdf)を公開しています。
このほか、災害時に斜面崩壊が発生した場合に発災前後のDTMを比較することで土量を推定したり、DTMとDSMの差分を計算することで樹高を計測したりと、さまざまな用途に活用することができます。
近年は都道府県などが航空レーザー測量によって計測したデータをもとにした高解像度のDEMを公開する動きが高まっており、この取り組みが継続されて過去の標高データが蓄積されていけば、地表面の変化を時系列で追うことが可能となるでしょう。また、DEMをもとにAIを活用して地形解析を行う技術なども進んでおり、高解像度のDEMのニーズは今後もますます高まっていくことが予想されます。














